引っ越してから、月に一度は実家へ帰るようにしている。
母はいつも、色とりどりの野菜をたっぷり使ったお昼を用意して待っていてくれる。
テーブルの上に並ぶのは、サラダや煮物、卵焼きにフルーツまで。お皿の彩りを見ているだけで、心がほっとする。

母の料理はどれも本当に美味しい。
でも、食卓で必ず母が言うのは、
「卵焼きの味が薄かったな」とか、
「煮物の味が濃かったな」とか、
「野菜ばっかりでおかずにならないな」なんて言葉。
けれど私は、そんな風に思ったことは一度もない。
「そう?」とだけ返しながら、心の中では
一人でこれだけの品数を作ってくれる大変さと有り難さに、
ただただ感謝している。
「ありがとう」
言葉に出すのは照れくさいけれど、
料理を前にするたび、その気持ちは変わらない。

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